自然エネルギーと有機農業

自然エネルギーとは、風力・太陽光・バイオマス(材木や農産資源)など将来にわたって繰り返し利用できるエネルギー資源を指し、その意味から再生可能エネルギーとも呼ばれています。これらのおおもとはすべて太陽から降り注ぐ陽の光です。もちろん現在の文明を支えている石油・天然ガスなどの化石燃料も太陽光によって繁殖した動植物の死骸が堆積してできたことを考えると太陽の恵みである事に違いはありません。

 

 それでは自然エネルギーと化石燃料の違いはなんでしょう。化石燃料が数億年から数百万年も前から蓄えられた「太陽エネルギーの貯水タンク」であるのに対し、自然エネルギーは1日長くても数十年の間に繰り返し生み出されてくる「太陽エネルギーの小川」なのです。貯水タンクの水はどんなにタンクが大きくてもいつかはなくなってしまうものなのに対し、小川の水はそれを生み出す地域の自然が大切に守られている限り常に流れ続けます。

 

 ここに自然エネルギーと有機農業の大きな接点があります。有機農業にとって、健康な農作物を育てることができる場(自然環境)を守り育ててゆくこと、そして、その自然の特徴や変化を適切に読みとる目がとても大切です。それは、そのまま自然エネルギーを利用するのに必要な姿勢でもあるからです。もしかすると、農業とは、最もすてきな自然エネルギー利用術かも知れません。太陽光と水と土からエネルギーの缶詰(農産物)を作ってしまうのですから。

 

 小川町には、家畜フンやオカラなどの農産残物からエネルギーの高いガス(パイオガス)を生産し、調理・照明・暖房・冷蔵庫用のエネルギーを自給しているごきげんな百姓達がいます。また、ここの日照時間はおそらく日本で最長の部類にはいります。昔、「ピッカリ千両」と呼ばれるくらい、その日の光が和紙づくりに役立ちました。