◆種苗の自家採取と種苗交換会

近年の農作物の品種改良は見栄と収量アップを前提とした一代雑種(F1)が主流となり、農家自らが種採りできる品種が少なくなりました。この流れはますます強くなり、種子戦争ということが叫ばれているように、世界中の種子の原種が少数の企業に集中独占される傾向にあります。

 

 私たちは前々からこの流れに疑問を感じていました。そして、15年ほど前より関東近辺の農業者で有機農業に適し、自ら種子どりした自慢の種を持ち寄り、有機農業の種苗交換会を毎年開いてきました。今ではコマツナからほうれん草、さつまいもや里芋、ネギやインゲンなどたくさんの種子がお互いに交換されています。種子どりで注意することは、同じ科のものは近くではとれません。少なくとも300メートルは離して、なるだけ交雑が起こらないように気をつけることです。

 

 一軒の農家が少なくても2品種づつ自慢の種を持ち寄り、50戸の仲間が集まれば100品種です。種苗交換会は同時に大変有意義な技術交換の場ともなっています。

 

 関東で始まった試みは東北から九州にまで拡がっていますが、農業者自身が分散自家採取して、種苗の交換に参加あうすことは大きな意義を持つと確信しています。古くから「品種にまさる技術なし」と言われていますが、各地の風土に最も合った品種こそ地域お輿しにつながっているのです。

(金子)